プラスチックによる環境汚染の防止を目的にした初めての国際条約が合意に失敗しました。交渉は難航必至とみられていましたが、なんとか格好はつけるのかなと期待していました。見事に外れました。プラスチック製品の汚染は世界中で深刻度が増しているだけに、合意というよりは問題解決に向けて一歩でも前進して欲しかったです。当初から指摘されていた先進国vs途上国、資源国vs消費国といった対立構図は予想以上に根深い溝があったことを確認するだけだったようです。
静観するわけにはいきません
このままで静観しているわけにはいきません。できることからやりましょう。消費者自らリサイクルやゴミ回収を徹底するとともに、ポイ捨てなどをやめる習慣を社会に根付かせる努力を続けるしかありません。日本は世界の中でもプラチックのリサイクルでは遅れています。たとえ一周遅れであろうとも、とにかく先頭を切る覚悟を持ちましょう。
世界のプラスチックごみの量は2019年までの20年で2倍以上に増えているそうです。国連ではプラスチックによる環境汚染を防ぐ国際条約を2024年中にまとめることを決議しており、11月25日から韓国・釜山で各国の政府代表らが協議してきました。汚染を根本から抑え込むためには、プラスチックの生産量そのものを抑制する必要がります。この規制を巡っては、プラスチックの原料となる石油を産出する資源国が強硬に反対をしているため、妥協案がいくつか提示されましたが、結局は物別れのまま閉幕しました。次回開催に含みを持たせていますが、「次回はなし」との見方もあります。
日本は決して誇れる立場にはありません。年間1000万トン弱の廃棄量が生まれ、世界全体の2%程度を占めるそうです。ゴミ捨てランキングで見ると、第5位だそうです。国連が集計した1人あたりの廃棄量でみると、米国に次いで世界第2位に多い国に数えられます。ペットボトルやリサイクルマークなどを確認して仕分けしているにもかかわらず、ごみ廃棄量で不名誉な記録を残している訳です。残念です。
しかも、リサイクル率は世界的にも低いのが実情です。廃棄されたプラスチック製品の70%近くが焼却され、リサイクルに回るのは25%程度、8%程度が埋め立てにそれぞれ回るそうです。焼却で得た熱は暖房などに利用されていますが、実は国際基準では熱の回収をリサイクル率に組み込むことは認められておらず、日本が主張するリサイクル率は国際的にはさらに低い数字となります。リサイクルとして分類している25%のうち7割程度は中国などアジアへ輸出したものを換算していた時期もあり、国際基準で改めて日本のリサイクル率を見ると、米国とほぼ同じ10%程度に落ち込む計算です。
消費者が先頭を切るしかない
日本政府は2020年7月にスーパーなどのレジ袋の有料化を定め、プラスチックの有効利用と節減に努める姿勢を国民に求めました。しかし、実情は変わりません。レジ袋が占める比率はわずかで、有料化しても他の場所でレジ袋の代わりとなるプラスチック製品を購入し、結局はそのままゴミとして捨てられるなどの弊害を招き、効果について疑問視する声が多数あります。
最も大事なのはプラスチック製品を利用する私たちがいかに変わっていくかです。生活様式を改めて冷静に見直し、プラスチック製品をどう有効に使用するのか、あるいは使わずに済むのかを考えなければいけません。消費者が変われば、メーカーや流通業者は必ず変わります。
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