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公共リサイクルボックスの挑戦を ゴミ箱と並べリサイクルを根底から考えるアイコンに

 米国西海岸の主要都市シアトルの街を歩いていたら、中心部の広場に日本では見かけないゴミ箱に気づきました。通常のゴミ箱の横に「リサイクル用の箱」が並んでいます。日本では街中でゴミ箱を見かける風景が消えてしまっているためか、とても新鮮に見えました。リサイクルにできるものなら、なんでも箱に投入できるのかどうかはわかりません。わかっているのは、シアトルも日本同様、あるいは日本以上に生ゴミ、リサイクル用、リサイクル不能などときめ細かく分別することを求めています。安直に公共のゴミ箱になんでも放り込めるわけではありません。

日本は米国並みにリサイクル率は低い

 しかし、街の中心部にゴミ箱とリサイクル箱が並んで立っている光景は、リサイクルとゴミは紙一重であり、どちらかにするかで価値が変わると思い知らせてくれます。リサイクルはもう当たり前と考え、家庭で分別していることですべて完了していると思いがちですが、実は日本はまだまだリサイクル後進国です。私も含めて多くの人はこれだけ分別しているのだから、世界でもトップ水準と勘違いしています。改めて、ゴミとリサイクルの違いをいつも考えさせてくれるアイコンが必要です。ゴミ箱とリサイクル箱が同じ高さで並び、歩く人に呼びかける”姿”は、アイコンにぴったりではないでしょうか。

 実は日本のリサイクル率は20%を割っています。 OECD加盟国34カ国のなかで最も低い数字です。 リサイクルが低迷している理由は、日本が生ゴミなどなんでも焼却してしまうからです。リサイクル率が高いと思われているプラスチック製品も残念ながら、低いのです。日本が再利用しているプラスチック製品は事実上、10%程度。低すぎると批判を浴びている米国が9%ですから、日本もちょっと危うい立場です。

プラスチックは10%程度

 これに対し欧州の30%。日本と欧州の差はかなり開いています。日本の場合、リサイクルするために各家庭できめ細かく仕分けているうえ、ペットボトルの回収はスーパーやコンビニが回収箱を設け、多くの人が利用しています。にもかかわらず、プラスチック製品の全体でリサイクルに回るのは25%程度。8%は埋め立てられ、残る70%近くは焼却されています。

 日本が高いと主張するリサイクル率にはからくりがあります。焼却されるプラスチック製品の70%のうち50%以上は燃料として使われ、その燃焼から発生する熱は暖房などに利用されています。日本は、この熱を回収する工程をサーマルリサイクルと呼び、再利用する25%と合計して日本のリサイクル率は80%を超えると主張していました。しかし、これは国際基準で認められていません。

リサイクルの仕組みを根底から

 しかも、再利用している25%のうち7割程度は中国などアジアへ輸出してリサイクルされていました。その分を差し引くと、日本のプラスチック製品のリサイクル率は米国とほぼ同じ10%程度に落ち込む計算です。

 公共のリサイクル箱を配置したら、メチャクチャな利用が増え、むしろ混乱が起こると考えるかもしれません。ゴミ箱が街角から消え、飲料水の自動販売機や道の駅でもゴミを捨てるカゴなどの姿がなくなった理由の一つです。

 しかし、それでゴミ捨てのマナーが改善されているのか、さらにゴミの再資源化が進んでいるのかどうか。道路脇にポイ捨てはなくなりませんし、自販機のそばにペットボトルが並んでいます。スーパーには販売する牛乳パックや簡易トレーの回収箱はありますが、焼酎など内側に難燃フィルムが貼り付けられているリサイクルパックはスーパーなどで回収していません。私の場合は、近所の図書館に設置されている難燃用リサイクルボックスに持って行きます。

 日本のリサイクルの仕組みは国際的に低いという現実よりも、どこかでボタンのかけ違いが思っているのかもしれません。街角にもう一度、ゴミ箱とリサイクル箱を置いて、日本人がどんな行動をするのかを見極め、リサイクルの仕組みを再構築するのはどうでしょうか。自治体関係者から無謀だと批判を浴びるのは必至ですが、多くの人が根底から考え直すきっかけが必要です。

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