おいしいワインが全国各地で生産され、とても身近になってきました。半世紀ほど前なら、日本でワインといえば山梨県、ブランドなら甲州園がとても有名でした。ところが、地球温暖化のせいなのでしょうか、もう10年以上も前からぶどうを育てる土地は山梨県では気温が暖か過ぎて、長野県で生産したぶどうが使われていると聞きました。
海外の醸造家が北海道で高品質ワイン
最近では、北海道では無理と言われたピノ・ノワールやシャルドネが生産され、その高い品質に吸い寄せられるように世界からすぐれた醸造家が拠点を移し始めています。ピノ・ノワールはフランスワインとして高い人気を集めるブルゴーニュで地域で栽培され、そのブランドを支えています。私も好きな品種です。そのピノ・ノワールが国内で生産され、ワインの仕上がりも称賛される。簡単に手が出る価格ではありませんが、ワインがより身近な存在になります。
北海道産は昔から日本国内で人気を集めていましたが、ワイン用ブドウが栽培できる気候的な北限と言われ、ツバイゲルト、ケルナーなどが寒冷地に強い品種が生産されてきました。いずれの品種も北海道で高級ワインと呼ばれたブランドでよく目にするぶどうです。
温暖化で北限がさらに北へ
北海道でもピノ・ノワールを生産する試みは明治時代からありました。こちらは気候が適さず成功していなかったそうです。最近は北海道の中央部に位置する後志や空知の各地域で栽培が進んででおり、北海道産のワインの評価を一段と高め、生産拡大を後押ししています。北海道のワイナリーの数は1999年までは10ヶ所以下だったそうで、2017年8月末で30カ所を超えているそうです。
高品質のブドウが手に入るため、海外から醸造家が北海道へ移ってくる動きも広がっています。例えば高品質のワインで有名なココ・ファーム・ワイナリーが販売するピノ・ノワールは北海道余市町の契約農家・木村農園で育て、米国の醸造家ブルース・ガットラヴさんが北海道の岩見沢市で醸造しました。
栃木県のココ・ファームは岩見沢で高級ワイン
ココ・ファーム・ワイナリーは1958年に栃木県足利市にぶどう畑を拓き、以来自閉症などの青年らが栽培したぶどうでワインを生産しています。時々、愛飲していますが、とてもおいしいです。そのココ・ファームが北海道産のぶどうを使い、高品質のワインを増やしているのですから、北海道のピノ・ノワールは本物である証です。
地球温暖化を理由にこれまで無理と言われた北海道でピノ・ノワールが栽培できるということは、これまで栽培できる地域はどうなるのでしょうか。
スペイン、イタリアで危機感高まる
ワイン醸造が主産業であるフランスではワイン用ブドウの収穫時期が早まっているそうです。フランスの気温は19世紀末より平均1.1度上がっており、ワインの名産地としてブルゴーニュと並ぶボルドーでは1.5度も上がっているそうです。フランスより南に位置するスペインやイタリアのワイン産地では、さらに危機感が増しています。ワインは欧州各国にとって主要な産業であり、輸出品です。地球温暖化は、欧州のみならず世界の農水産業の勢力図を大きく変えようとしています。
◆写真はココ・ファーム・ワイナリーのHPから引用しました。
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