CCPIが作成した気候変動ランキングのうち「再生可能エネルギー」の項目をみてみます。まずは評価方法から。
水力を除いて評価する項目も
再生可能エネルギーとは、水力、太陽光や風力など自然エネルギーを利用して発電しているものです。CCPIのランキングは水力を含めた場合と、水力を除いた場合に分けて評価しています。国土の特徴によって水力を活用できる国とできない国に分かれるからでしょう。
水力発電はその特性からノルウェイなど山脈が多い国では活用できますが、砂漠や平地など自然が制約条件となって利用しにくい国もあります。脱炭素を進めるため、化石燃料以外のエネルギーとして原子力を選ぶ国もありますが、多くの国にとって建設地の選定が難しいうえ、設備投資が巨額に膨らみ、気軽に手が出せる電源ではありません。結局は太陽光や風力を多用して脱炭素化を進める選択肢となります。
脱炭素の努力を測る尺度としては最適
再生可能エネルギーから水力を除き太陽光や風力など限定すれば、化石燃料以外のエネルギーをどの程度増やそうと努力しているかが浮き彫りになり、脱炭素からの脱却を示す尺度としては最適と考えてもおかしくはありません。
評価はランキング評点のうち20%を占めます。全体評価100%のうち温暖化ガスが全体の40%を占めますから、配分は半分。評価項目にはエネルギー効率、気候変動政策の2項目ありますが、いずれも20%の配分と同じです。
再生可能エネルギーに配分された20%はさらに4項目5%ずつ細分化されて評点します。①全体の電源に占める現在の比率②再生可能エネルギーの供給体制の進捗度(水力は除く)③目標とするマイナス2度を実現するための電源全体に占める現在の比率④マイナス2度実現に向けた2030年時点の到達目標に分類されます。
太陽光や風力の発電施設を増やせば評価される仕組みではないところがニクいです。パリ協定の実現、2030年の到達と道順に従ってCO2削減に継続して努力しているかを見極めようとしています。
日本は進捗度の評価は「高い」
ようやく日本の項目にたどり着きました。ランキング48位となった内訳です。電源全体に占める比率は「低い」、供給体制の進捗度は「高い」、マイナス2度実現に向けた全体の比率は「非常に低い」、マイナス2度実現の2030年度目標は「非常に低い」となっています。
日本は再生可能エネルギーの拡大で出遅れていましたが、その後の設置スピードを加速しています。全体比率は低いけれども、進捗度は高いと評価されるのは肯けます。マイナス2度実現に向けた比率でともに「非常に低い」と評価されたのも納得できそうです。
原子力を重視の政策が足かせ
「非常に低い」となる背景には日本の電源政策が原子力の比率を依然、高く設定していることにあります。エネルギー政策の主軸に据え、全体の30%程度を原子力で賄い、発電体制のベース電源として位置付けてきました。現在も2030年、パリ協定に向けて脱炭素の切り札として新増設する計画を掲げ、その旗をまだ振り続けている最中です。再生可能エネルギーが全体に占める比率で低くなるのは当然です。
しかし、政府の思惑通りに進む状況ではありません。原発の再稼働や新増設は難航しており、2030年までに再稼働できる原発は何基あるか。一方で太陽光や風力の発電所設置はこれまで以上の勢いを見せています。CCPIの次回ランキングでは進捗度で高い評価を獲得して、再生可能エネルギーの順位はもうちょっと上位になっているかもしれません。
第1位はノルウェイ、水力が90%以上
ちなみにランキング第1位はノルウェイ。全体の電源のうち90%以上は水力発電が占めています。ただ、日本のようにダムで堰き止めて発電する方式は少なく、川の流れを生かした小規模な発電方式が多いそうです。
日本が学ぶ点は多いはず
日本も河川が多いので、ノルウェイ方式から学ぶ点が多いと思うのですが、日本の河川は急流が多く、小規模発電方式には向いていないそうです。でも、せっかくの資源です。エネルギーとして活用するアイデアを考えてみたいです。
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