ホンダ とゼネラル・エレクトリック(GE)がジェット燃料を動植物由来のバイオ素材を利用した「SAF」100%に設定して、エンジンのフルパワーを引き出すことに成功しました。航空業界は、ジェットエンジンが排出するCO2が地球温暖化を招く温室効果ガスとして削減を求められており、対応策のひとつにSAFの活用が研究が進んでいます。ホンダ はGEとともに主翼の上にエンジンを搭載するユニークなビジネスジェットを開発し、世界的なヒットを生み出しました。環境対応のジェットエンジンでも業界の常識を打ち破ることができるでしょうか。
実験に成功したのは、ホンダ とGEが折半出資する「GEホンダ・エアロ・エンジンズ」。同社の発表によると、ジェット燃料をすべてSAFに切り替えても、通常のジェット燃料と同じ性能を発揮したそうです。試験に使ったエンジンはホンダが販売しているビジネスジェット機「ホンダジェット」に搭載されている「HF120ターボファンエンジン」。
SAFは米国材料試験協会(ASTM)の認可を受けて利用することになっており、現在は既存のジェット燃料にSAFを混合できる比率が50%が上限と決められています。今回の試験で100%利用の活路が拓け、CO2のより大きな削減効果が期待できるようになります。同エンジンはビジネスジェットの小型機クラスで高効率の燃費性能を持っており、SAFを100%燃料に利用できればCO2の排出削減でも他社と差別化できるようになります。
ビジネスジョットはCO2を大量に排出していると強い批判を浴びています。欧米はCO2の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルが大きな関心事になっているだけに、近距離をビジネスジェットで移動することに対して禁止する声が出ており、欧州ではジョット機の利用範囲を制限する規制案も議論されています。
ホンダは2022年6月、SAFの安全性を評価する国際団体にアジア企業として初めて参加しています。本業の4輪・2輪事業も含めて2050年にカーボンニュートラルを達成することを目標にしており、CO2の大量排出で批判を浴びているジェットではSAFの利用を拡大してCO2削減をめざしています。
ホンダ の創業者の本田宗一郎さんは二輪車を作りながら、将来は飛行機を作りたいと考えていました。戦後生まれたばかりの会社、ソニー同様ホンダ にはまだ未来がどうなるのかわからない会社でありながら、東大卒など優秀で夢を抱いた人材が集まりました。この背景には飛行機を設計・開発したいと考え、応募した学生が多かったからです。
4輪事業は電気自動車でソニーと提携するなどカーボンニュートラルも具体的な将来図が描かれ始めました。ホンダジェットでも航空業界をリードするブレイクスルーにめどがつきました。今後のホンダ に注目し続けたいです。
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