日本のSDGsに対する評価は163か国のうち21位。2017年は過去最高の11位でしたが、2019年は15位、2020年は17位、2021年は18位、2022年の19位とズルズルと順位を下げ続け、2023年は21位となりました。あれだけ政府も企業もSDGs推進を連呼しているにもかかわらず、SDGsの世界ランキングは上昇するどころか下がり放し。体感温度とかなり違うと受け止めて良いのか、あるいは体感と同じと苦笑して良いのか。なんとも複雑な心境です。
2017年からずるずると下がり続ける
世界ランキングを公表したのは、国連と連携する国際的な研究組織「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(S D S N)」。国連事務総長の提案で2012年に設立され、SDGsや地球温暖化への具体的な目標を定めたパリ協定を実現するために、さまざまな提案を続けています。SDGsの報告書もその一つで、国別に達成状況など調査し、ランキングを作成しています。
日本より上位はすべて欧州
ランキングの上位はフィンランドが1位、スウェーデンが2位、デンマークが3位と続き、昨年と同じ顔ぶれです。21位の日本より上位の20カ国は東欧を含めすべて欧州勢。イタリアやカナダ、ニュージーランド、オーストラリアが日本より下位にランキングされていますから、日本は健闘したと見ても良いのかもしれません。
ランキングは目安です。上がった!下がった!と目くじら立てることはないでしょう。目安だからこそ、日本の評価を再確認して、目の前の課題を明らかにして前進するのが賢明です。
SDSNの報告書では、世界のSDGsは3年連続して達成が遅れ、数値で表すSDGs指標も3年連続して減少しています。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの戦争で取り組みが進んでいたのが大きな理由です。
ジェンダー、気候変動などで低い評価
日本をみてみます。「まだ挑戦が足りない」と評価が低いのは「ジェンダーー平等」「生産と消費」「気候変動の対策」「海の豊かさを守る」「陸の豊かさを守る」などです。日本の男女格差は、世界的に低いことが知られていますが、海や陸の豊かさを守るの視点でも低いのは、資源保護の観点から世界に対する説明が足りないからではないでしょうか。気候変動対策は再生可能エネルギーの普及が欧米に比べ遅れているため、評価を下げるのも仕方がありません。生産や消費もリサイクルの遅れなどで差がついており、肯けます。
努力姿勢などでは13位と評価
日本はランキングではずるずる落ちていますが、そろそろ歯止めがかかる可能性も見えてきました。政府のSDGsへの努力やコミットメントのランキングをみると、日本は13位。対象は74カ国と少ないですが、「High Effort」と2番目の評価を受けています。
他の国も努力、日本はもっと頑張れ
結局、日本は努力しているけれども、他の国々がSDGsの各項目で日本を上回る努力を続けていることが浮き彫りになっています。SDSNが公表しているSDGsの指標の平均値は年々、上昇していることからわかります。日本の進展度合いが、他国よりも遅いとみえるのでしょう。掛け声とお金だけでは不足なのです。実践がすべてを物語ってくれます。