測量・土木用ソフトウエア開発のアイサンテクノロジー(名古屋市)が三菱商事と共同出資の会社を設立して、自動車の自動運転関連のサービスを開始します。両社が積み重ねてきた自動運転の実証試験や技術を使い、自動運転を利用するためのサービスを「ワンストップ」で提供するそうです。アイサンテクノロジー同様、全国では自動運転の実用化に取り組む動きが加速しています。自動車の自動運転は電気自動車(EV)の普及とともに注目を浴びていますが、自動車以外でも多くの分野で利用が期待されています。閉塞感が漂う日本経済を中堅企業が主導して、地方の活力をもたらすインパクトを期待しています。
アイサンテクノロジーと三菱商事が設立するのは「A-Drive」。本社は横浜市で、資本金は3億円。アイサンテクノロジーが60%、三菱商事が40%をそれぞれ出資します。新会社は自動運転する自動車を利用するために必要なシステムや設備を設計・調達するほか、運行するノウハウなどをコンサルティングします。「自動運転ワンストップサービス」と呼んでおり、関心はあるが手を出せないでいる事業者を新規開拓するのが狙いです。2025年には自動運転を実用化する計画です。
アイサンテクノロジーは1970年に創業。測量システムを軸に測量・不動産登記の業務効率を高める専用ソフトウェアの開発、事業拡大しています。1997年4月に上場し、現在は東証スタンダード。2010年から自動運転の研究を開発をしており、同社の発表資料によると高精度 3 次元地図データを利用して100以上の自動運転実証実験を行い、無事故で走破し 続けているそうです。一方、三菱商事はこれまでの自動車事業を通じた経験などを生かして、自動運転の事業化に触手を伸ばすことにしました。
自動車の自動運転といえば、米電気自動車のテスラなど欧米の自動車メーカーが主導するイメージが強いのですが、日本でもZMPはじめ多くのベンチャーが研究開発面で先駆的な役割を果たしてきました。ZMPは自動車に限らず物流関連の設備など幅広い機械を自動運転するインフラ構築を想定し、「Robot of Everything」を掲げ、多分野での自動運転をめざしています。
大手自動車メーカー、政府などの研究開発も急速に進み、実用化に向けたゴールは見えてきましたが、安全性や信頼性を完全に担保できるかどうかなど待ち構える課題は山積しています。法的整備もまだ必要です。
難問をブレイクスルーするためには、アイサンテクノロジーのような中堅企業がどんどん参入し、多くの知見とアイデアが結集することがなによりも活力を生みます。参入企業はどんどん増えていってほしいです。それが疲弊する地方の公共交通網を刷新し、足踏みする日本経済の背中を押す原動力になるはずですから。
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